
本記事ではこういった疑問に答えていきます。
本記事で解説する内容
- 英検、TOEIC、TOEFL、IELTSのそれぞれの試験の特徴
- それぞれの試験の主な受験対象者
- 試験の難易度比較
- 英語力を伸ばしたい人が受けるべき試験とその順番

それぞれの試験の概要
まず、それぞれの試験について適切に把握しておかなければなりません。
そこでそれぞれの試験の簡単な概要を解説していきます。
英検はTHE日本の英語
英検とは、実用英語技能検定の略で、日本英語検定協会という民間団体が主催する英語技能の検定試験です。日本ではTOEICと並んでかなり知名度の高い英語試験の1つで、毎年230万人以上が受験します。
英検の試験は易しいものから順に5級、4級、3級、[準2級・2級]、[準1級・1級]の7つのランクに分かれており、希望の等級を受験してそれぞれ合否の判定がされます。
試験内容はリスニング、リーディングを中心に、3級以上ではスピーキング(二次面接)、ライティング(英作文)も含めた4つの技能が問われます。

中学高校生のための英検
英検と学校英語の傾向はかなり似ており、英検の勉強をすれば学校英語だけでなく、受験英語やセンター試験英語にも対応できるようになるため、主に中学、高校生向きの試験といえます。ちなみに受験者の割合も中学生と高校生が約7割と高くなっています。
こんな方におすすめ
- 現在受験勉強をしている中学生や高校生。
- 将来、英語教員になりたい方。
- 一般人から「すごい!」と言われたい方。
ビジネスのTOEIC
TOEICは、アメリカにある米国非営利教育団体ETSが開発・制作している英語コミュニケーション能力の測定テストです。現在は世界約160ヶ国で実施、活用されていますが主に日本と韓国の受験者が多いのが特徴です。日本におけるTOEICの運営は一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が行っています。
TOEICは大きくTOEIC L&R(リスニング & リーディング)とTOEIC S&W(スピーキング&ライティング)の2種類に分けられますが、一般的に呼ばれるTOEICとは「TOEIC L&R」のことを指します。そのためTOEICといえばリスニングとリーディングの試験という認識が一般的でしょう。
スコアはリーディング495満点、リスニング495満点の合計990満点で算出されます。
受験者の大半は大学生か社会人
TOEICは主にビジネスパーソンに向けて作られており、ビジネスで使う単語やフレーズが多く出題されます。ビジネス向きの内容であることから、社会人や就活対策を目的とした大学生が多く受験しています。また、TOEICを採用基準の一つにしている企業も多くあります。
TOEICが就活にどのような影響を与えるかについては以下の記事にまとめています↓
-
-
あわせて読む就活にTOEICは必要?何点取れば有利になれるのか実体験を基に分析してみた
続きを見る
こんな方におすすめ
- 英語を武器にしたい就活生。
- 昇進をしたい社会人。
- (東大以外の)日本の大学院に進学する予定の大学生。
アカデミックのTOEFL
TOEFLは英語を母国語としない人々の英語コミュニケーション能力を測るテストとして、アメリカにある非営利教育団体であるETSによって開発されました。現在は世界130カ国9,000以上の機関が、TOEFLのスコアを英語能力の証明として利用しています。
また、TOEFLは主にTOEFL ITPとTOEFL iBTの2種類に分けられます。ITPではリスニング、文法、リーディングの能力を試されますが、iBTではリスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能を測ります。大きな違いは「話す」「書く」の2技能があるかないかです。ちなみに一般的にTOEFLと呼ばれるのはTOEFL iBTの方ですので注意しておいてください。
TOEFL ITPは紙ベース(マークシート)式ですが、TOEFL iBTは全てコンピューター上で行われ(スピーキングもマイクに向かって一人で行う)、両方ともアメリカ英語が中心です。
試験内容はリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4セクションからなり、各30点満点の合計120点満点です。
だいたい60点がアメリカへの大学留学の最低ラインと言われており、80点取れば大学院レベル、100点を超えてくると、ハーバード大学などの有名大学(院)への入学も可能であると言われています。
TOEFL受験者の大半は北米に留学する人
TOEFLiBTの受験者は主に「アメリカとカナダの大学・大学院に入学することを目的とした学生」が大半です。(イギリスには留学できません)
最近では早稲田大国際教養学部や上智大国際教養学部を始め、ICU、国際教養大、慶應大学AO入試など、日本国内の大学入試でもTOEFL iBTのスコアを選考基準の一つに加えるところが増えてきている点も注目ポイントです。
こんな方におすすめ
- 海外、特にアメリカやカナダへの大学(院)留学を考えている方。
- 外資系企業を始めとした英語を重視している企業に入社したい方。
- 英語力を伸ばしたい方。
アカデミック&ジェネラルなIELTS
試験内容はリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4モジュールからなるのですが、TOEFL iBTと違い、紙ベースの試験となっており、スピーキングは対面式で行われます。また、イギリス発祥ということもあり、イギリス英語が中心となっています。
それぞれ9点満点でそれらの合計を平均した値がオーバーオール(全体の点数)となります。
例)listening6, reading5, writing6, speaking5の人→5.5
一般的には5.5点が大学留学の最低ラインと言われており、6.5~7.0が大学院レベルであると言われています。
IELTSの勉強法はこちら↓
-
-
あわせて読む【IELTS勉強法】たった1つのことを意識するだけで一瞬で高得点を取得できる
続きを見る
IELTSはイギリスだけじゃない
日本ではイギリスに留学する人がIELTSを受ける場合が多いのですが、海外ではカナダやアメリカなどの北米の人でもIELTSを受ける人はかなり多く、IELTSの方がTOEFLよりも世界的に有名な試験となっています。また、TOEFL取得者はイギリスに留学することができないのですが、IELTSを取得すれば世界中の大学に留学できます。そのためアメリカを含めた全ての英語圏に留学したい人はIELTSを受けましょう。
こんな方におすすめ
- 海外への大学(院)留学を考えている方。(イギリスはIELTSしか受け付けない)
- 外資系企業を始めとした英語を重視している企業に入社したい方。
- 英語力を伸ばしたい方。
どの試験が一番難しいの?
こういった質問は特に初心者の方に多いのですが、結論から言うと、「簡単には比較できない」というのが正直なところです。
というのも、上記でも説明した通り「TOEICは「聞く」「読む」の試験のみ」や「英検に関しては合格不合格で判断される」など、それぞれの試験の特徴があるからです。
ここでは一般的に高スコアと呼ばれる点数、TOEFLで100点以上、IELTSで7.0以上、TOEICで900点以上、英検で1級合格、という条件の下、難易度を比較したいと思います。
実際に上記を参考に難易度を比較すると以下の通りになります。
TOEIC900点<<<英検1級<IELTS7.0<TOEFL100点
確実に言えることはTOEIC900点が他3試験と比べて明らかに難易度が低いと言う点です。
なぜTOEICが1番簡単なのか
TOEICと他3試験と圧倒的に違うところは出題される問題の単語レベルです。TOEICはビジネスでよく使われる単語が多いのですが、他の3試験はさまざまな場面で使用される単語が出題されます。特に英検1級で出題される語彙はかなり難易度が高いことで有名です。ただ、ここで注意すべきことが、「TOEICは単語が簡単だから点数も簡単に好スコアを取れるのか」というとそうではないということです。TOEICはその分、文章量が多かったりひっかけ問題が多かったりと、英語力とは別の能力が問われてきます。そういったことが「TOEICは英語試験というよりテクニック試験」と言われる要因なのです。
TOEFLとIELTSは英語力を伸ばしてくれる
TOEFLとIELTSは一般的に留学のための試験だと思われがちですが、そうではありません。「英語が話せるようになりたい」「英語力を伸ばしたい」と言う学生にこそ、この2つの試験勉強をオススメしています。理由は他2試験(TOEIC、英検)と比べて、本当の英語力(英語を操る能力)が身につきやすいからです。
TOEFLとIELTSではアメリカの日常的な内容から大学の専門分野まで幅広く出題されるため、明らかに英語力は伸びます。留学の予定が特にないとしても上記2つの試験の受験はオススメします。外資系や英語を重視とする企業ではTOEFLやIELTSを入社要件として扱っているところも多いため、日本にいても評価される機会はたくさんあります。英語でキャリアを切り開いていきたい方にとっては必須の試験と言えるでしょう。

試験を受ける順番は?
私がおすすめする受ける試験の順番は以下の通りです。
TOEFL or IELTS→TOEIC→(英検)
上記の順番にしたのには大きく3つの理由があります。
理由1:英語力を伸ばせばTOEICでも高得点は取れる
上記で説明した通り、TOEFLとIELTSの対策をしていると本当の英語力が身につきやすいです。そのため、この2つの試験で高得点を取得できれば、TOEICでも高得点を取得できます。もちろんこれはTOEFLとIELTSの難易度が高いことを意味しているのですが、結果的にTOEICの点数だけでなく全体の英語力を伸ばすためにもやはりアウトプットの学習は必要でしょう。

理由2:TOEICは英語力を測るための試験として最適
「TOEICのため」だけの勉強をしていると、TOEICでは高得点を取れても他の英語試験では高得点を取れないといった状況に陥ることがよくあります。また、TOEICの勉強をしても本当の英語力は身につかないため、英語を話せるようにはなりません。そのため、TOEICは「英語力を伸ばすための試験」というよりは「現状の英語力を測るための試験」として最適といえます。

理由3:英検はコスパが悪い
上記も説明した通り、英検では独特の単語や文章が多く出題されるため英検用の対策をしなければなりません。特に語彙に関しては、ネイティブでも使わないような単語をたくさん覚えないといけないため、資格に合格したとしても英検1級で使用した単語はそれ以降のキャリアで使用することはほとんどないでしょう。TOEIC、TOEFL、IELTSの3試験さえ受けていれば、日本や海外の企業、大学院で通用するため、あえて英検を受けるメリットは特に無いといえます。
ただし、英検準一級までであれば非実用的な単語はそこまで出題されないため、受けてみてもいいかと思います。また、中学生や高校生の人は英検で表彰されたりもするので受けてみてもいいでしょう。
おわりに
今回は英検、TOEIC、TOEFL、IELTSのそれぞれの試験の特徴や受けるべき順番などについて解説してきました。
重要なことは、どの資格もあくまで「英語力を伸ばす、もしくは測る」ための手段に過ぎないということです。資格取得自体を目的にするのではなく、「なぜ英語を勉強するのか」と「なぜその資格を受けるのか」を明確にしておきましょう。
本記事のおさらい
- 英検は中高生にとってメリットが大きい。
- TOEICはビジネスマンと就活生を対象とした試験。
- アメリカかカナダに留学したい方TOEFLを受けよう。
- IELTSがあれば全世界どこでも留学できる。
- TOEICは他3試験と比べて明らかに難易度が低い。
- TOEFLとIELTSは英語力を高めてくれる。
- 受ける試験の順番はTOEFL or IELTS→TOEIC→(英検は受けなくても可)