
本記事ではこういった疑問に答えていきます。
本記事で解説する内容
- IELTSとTOEFLのそれぞれの特徴と違い。
- 各セクション(リスニング、リーディング、スピーキング、ライティング)ごとの難易度比較。
- 迷ったらIELTSを受けるべき理由。
- こんな場合はTOEFLを受けよう。

結論からいうと、タイトルにもあるように私はIELTSをおすすめするのですが、それを裏付ける根拠が必要ですよね。
そのために、まずは両試験の特徴や試験の違いなどを押さえておく必要があります。
目次
TOEFLとIELTSそれぞれの特徴
TOEFLとIELTSは似ているようで全く違うテストです。ここでは双方の違いを見ていきましょう。
TOEFLの特徴
TOEFLは2種類ある
TOEFLはTOEFL ITPとTOEFL iBTとあるのですが、両試験は全く別の試験です。ITPはリスニング、文法、リーディングの3セクションから成るのですが、iBTはリスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4セクションから成ります。そのためiBTではITPと違い、本当の英語力(アウトプット力)が求められます。この記事では主にTOEFL iBTとIELTSの違いについて解説していくため、これ以降TOEFLとはTOEFL iBTのことを指すのでご注意ください。
TOEFL iBTの基本情報
TOEFLは現在9000以上の大学や機関、130以上の国で採用されています。全世界での受験者数は72万人で日本国内では毎年約8万人の人が受けています。
上記でも説明した通り、TOEFLはリスニング、リーディング、スピーキングライティングの4技能を計るテストです。
TOEFLの大きな特徴は以下の2点です
- アメリカ英語が中心。
- 4セクション全てコンピュータ上で行われる(スピーキングも)。
試験内容は以下の通りです。(試験の順番で並べています)
セクション名 | 形式 | 時間 | 問題数 |
リーディング | 選択式 | 54-72分 | 3または4パッセージ
計30〜40問 |
リスニング | 選択式 |
41-57分 |
5〜7題計28問〜39問 |
スピーキング | 録音 |
17分 |
4題 |
ライティング | タイピング | 50分
|
3題 |
各セクションそれぞれ30点満点の合計120点満点で採点されます。
IELTSの特徴
IELTSの基本情報
IELTSは145ヵ国、9000の機関で採用されており、受験者数は国内ではTOEFLの半分以下の3万人ほどですが、全世界では約250万人でTOEFLの3倍以上です。日本人にとってはTOEFLの方が馴染み深い試験ですが、実は世界的にはIELTSの方がTOEFLよりも有名かつ人気な試験です。
IELTSの大きな特徴は以下の2点です。
- イギリス英語が中心
- スピーキングは対面式、ライティングは記述式
試験内容は以下の通りです。(試験の順番で並べています)
モジュール名 | 形式 | 時間 | 問題数 |
リスニング | 選択肢と記述 | 30分+10分* *解答を書き込む時間が与えられる |
4セクション 40問 |
リーディング | 選択肢と記述 | 60分 | 3パッセージ 40問 |
ライティング | 記述 | 60分 | 2題 |
スピーキング | 面接 | 約15分 (当日or後日開催) |
3セクション |
IELTSの採点方法は少し複雑
IELTSのオーバーオールバンドスコア(総合点)は4つのセクション(Lリスニング,Rリーディング,Sスピーキング,Wライティング)の平均点で決まりますが、平均点が5.125など0.5刻みのスコアにならなかった場合は、その数字に一番近いバンドのスコアになります。
以下の表にわかりやすくまとめましたので参考にしてください。
自分が取得したスコアの平均 | オーバーオール | 四捨五入 |
5.125 | 5.0 | 切り下げ↓ |
5.25 | 5.5 | 切り上げ↑ |
5.375 | 5.5 | 切り上げ↑ |
5.675 | 5.5 | 切り下げ↓ |
5.75 | 6.0 | 切り上げ↑ |
5.875 | 6.0 | 切り上げ↑ |
例)L6.0,R6.5,S5.0,W5.5 Overall=6.0
TOEFLとIELTSの比較まとめ表
ここまで解説してきたTOEFLとIELTSの特徴と違いを以下の表にまとめました。
TOEFL iBT | IELTS | |
受験料 | 235ドル | 25380円 |
試験時間 | 3時間 | 2時間45分 |
スコア | 各セクション30点満点の計120点満点 | 各セクション9.0満点の平均(0.5刻み) |
セクション | 4セクション(R,L,S,W) | |
受験形式 | PC | PC or 紙 |
リスニング | 選択式30点 | 選択式と記述式 |
リーディング | 選択式 | 選択式と記述式 |
スピーキング | 録音 | 対面式 |
ライティング | PCにタイピング | 筆記 or PCにタイピング |

セクションごとの難易度比較
これまではTOEFLとIELTSの試験の特徴と違いについて解説してきました。ここからは各セクションごとの難易度について具体的に比較していきます。
リスニングはTOEFL=IELTS
TOEFLではよりアカデミックな専門分野がよく出題されるため、トピックの難易度はTOEFLの方が難しいと言えるでしょう。しかし、TOEFLはマークシートなのでどれか1つを選べば正解する可能性がありますが、IELTSは記述式なため単語を聞き逃してしまうとそれだけで命取りになってしまいます。内容の難易度TOEFL>IELTS。試験形式IELTS>TOEFLということで引き分けです。
リーディングはIELTS>TOEFL
IELTSのリーディングにはTrue or False or Not Given問題などIELTS独特の問題が多数ある上に、文章の長さもTOEFL約600〜700語に対しIELTSは900語と少し長いため、IELTSでは速読力も求められます。
また、TOEFLはパラグラフごとに解き進められるのですが、IELTSは情報が文章中に点在しているため、文章を行ったり来たりしなければいけません。トピック内容の難易度自体はTOEFLの方がやや難しいとは言われていますがそこまで大差はないため、総合的に見ればIELTSの方が圧倒的に難しく感じるでしょう。
スピーキングTOEFL>IELTS
TOEFLのスピーキングはコンピュータ上で行われます。そのため時間制限があり、15秒間問題を聞いて45秒で返答を考えないといけないため、タイムマネジメントが難しいでしょう。
また、TOEFLではIntegrated Taskといい、リスニングとリーディング力を試される場面もあるため、IELTSよりもかなり難易度は上がります。
一方のIELTSは対面式で行われるため時間制限も特になく、試験官に質問を聞き返すことも許されています。(TOEFLでは聞き返すことはできない)
スピーキングに関しては、総合的に見てTOEFLの方が難易度が高いと言えますね。

ライティングはTOEFL?IELTS
ライティングに関しては他のセクションと事情が大きく変わってきます。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
ここでもTOEFLにはIntegrated Taskがあり、リスニング力が必要になってきます。またタイピング力も必要なため、パソコンに慣れていない人にとっては過酷でしょう。一方のIELTSはグラフや図を描写するような独特な問題はあるものの、対策自体はそこまで難しくありません。ただ、解答を紙に直接記述しないといけないため、文字の汚さで減点になったり間違いを発見した際に消しゴムで消さないといけなくなったりして、時間を取られてしまうことがあります。
とはいっても、「問題自体の難易度」や「タイピング力が必要」といった観点から、全体的にはTOEFLの方が難しいように感じます。しかし、実はIELTSは6.5くらいまではライティングの点数を伸ばしやすいのですが、それ以上のスコアを取ろうと思うとかなり難しいのです(英語力以外のスキルも求められる)。一方のTOEFLは日本人でも満点を取得できることから高い英語力があれば高得点も狙えます。
以上のことも踏まえ、難易度を考えると
ライティングでIELTS6.5、TOEFL20点を目指す場合は、TOEFLの方がIELTSよりも難しいと考えられ、
IELTS6.5以上、TOEFLで20点以上を目指す場合は、IELTSの方がTOEFLよりも難しいと考えられます。
結局簡単なのはどっち?
一定の点数まではIELTS、それ以上はTOEFL
上記でも説明した通り、IELTSはライティングで高得点を取りづらいというのもあり、8.0以上を目指すのはかなり難しいでしょう。実際にIELTSの全セクションで9.0を取得した日本人は聞いたことがありません。(オーバーオールの9.0ならごく少人数います)しかし、TOEFL120点満点の人はわずかながら存在します。そういった点も含め、かなりの高得点領域においてはIELTSはTOEFLよりも難しいと言えます。

ここまで解説してきた内容をわかりやすく表にまとめましたので参考にしてください。
IELTS | TOEFL | |
TOEFLの方が簡単 | 8.0以上を目指す | 110点以上を目指す |
IELTSの方が簡単 | 7.5以下を目指す | 109点以下を目指す |
ぶっちゃけどっちを受けるべき?
上記で解説してきた内容を踏まえ、ほとんどの方はIELTSを受けるべきです。その理由を解説していきます。
IELTSを圧倒的におすすめする理由
理由1:8.0以上を目指す機会はほとんどない
IELTSがTOEFLよりも難しくなるのは8.0以上(TOEFLでは105点以上)を取得しようとする場合のみです。
しかし、ほとんどの受験者はIELTSで5.5〜7.0の得点域を目指すことになるはずです。これは多くの大学が留学要件としてIELTSで5.5〜7.0を求めているからです。あのハーバード大学でさえも学部であれば7.0を要件としていることからも、7.0、欲を言えば7.5を取得できれば十分すぎる点数でしょう。
理由2:IELTSは過大評価されている
TOEFL iBT | IELTS |
102〜109 | 7.5 |
94〜101 | 7.0 |
79〜93 | 6.5 |
60〜78 | 6.0 |
46〜59 | 5.5 |
上の表からもわかる通り、一般的にはIELTS7.0のスコアはTOEFLで100点として換算されるケースが多いです。ということは海外だけでなく、国内の大学(大学院)受験の際や就活の際もIELTS7.0取得者はTOEFL 100点の人と同等の評価をもらえるということです。
しかし、上記で説明したように、IELTS7.0の方がTOEFL100点よりも比較的楽に到達できます。

理由3:世界的にIELTSを採用している大学が多い
IELTSはイギリスを含めたヨーロッパ、アジア圏、オーストラリア、カナダなど全世界で認められています。また、アメリカでもハーバード大学、イェール大学などの有名大学を始めとして多くの大学でIELTSのスコアが認められてきています。一方、TOEFLを取得してもイギリスにはいけません。イギリスは国家としてTOEFLを認めていないため、そもそもビザすら取得できないのです。つまり、IELTSでアメリカには行けてもTOEFLでイギリスには行けないということです。
理由4:日本人はペーパーテストに慣れている
TOEICや英検だけでなく、高校入試や大学入試に至るまで日本で行われる試験のほとんどはペーパー上で行われます。TOEFLはPC上で行われるため、英語の対策の上にタイピングスキルも求められます。一方、IELTSでは「紙で受験するかPCで受験するか」を受験前に選択できるので、かなり受験しやすいですよね。
以下のような場合はTOEFLを受けよう
例外として、以下のような場合はIELTSではなくTOEFLを受けるようにしましょう。
留学先の大学がTOEFLしか受けつけていない
基本的にIELTSはアメリカを含めた全世界で認められているテストですが、一部の大学(特にアメリカ)ではTOEFLしか受けつけない大学が存在することも事実です。このような大学を受ける場合はTOEFL一択となるでしょう。
留学要件でIELTS8.0以上を求められている
上記でも述べたようにIELTSで8.0以上を取得しなければならない場合は一気に難易度が上がります。ブラウン大学など一部のアメリカの大学ではIELTSで8.0を求めている大学もあるため、そのような一部の世界トップレベルの大学を受ける場合はTOEFLを受けた方が高得点を取りやすいでしょう。
面接だと力を発揮できない
面接になると恥ずかしくて本来の英語力を発揮できないという方をちらほら見かけます。最近だとIELTSでもコンピュータテストが新しくできたのですがまだまだ認知度も低いため、「どうしても面接式がいやだ」という方はTOEFLを受けてもいいかもしれません。
まとめ
本記事ではTOEFLとIELTSの特徴や違いを徹底分析し、なぜIELTSをおすすめするのかについて解説してきました。
本記事のおさらい
- TOEFLとIELTSは全セクションで全く形式が違う。
- 一定点数まではTOEFLよりもIELTSの方が点数を取りやすい。
- 迷っている方はIELTS一択。理由は以下の4つ。
- 8.0以上を目指すことはほとんどない。
- IELTSはTOEFLよりも過大評価されている。
- 世界的にIELTSを受けつけている大学が多い。
- IELTSはタイピングの練習をしなくていい。
- 以下のような場合はTOEFL一択。
- 留学先大学がTOEFLしか受け付けていない場合。
- 留学要件でIELTS8.0以上を求められている場合。
- 面接だと力を発揮できない場合。
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